従業員が介護に直面したと申し出た場合、事業主は以下を個別に行うことが義務付けられました。
- 介護休業・介護休暇等の制度の周知
- 取得の意向確認
「掲示板に貼っておけばいい」という対応では義務を果たしたことにならず、個別に・直接・確認することが求められます。
老人ホーム紹介センターふくさと
企業の介護相談窓口担当者が知っておくべき「仕事と介護の両立」支援の流れ
対象読者:人事・総務担当者・企業の介護相談窓口担当者・社会保険労務士
はじめに
「親の介護が始まって、仕事を続けられるか不安です」
こうした相談が従業員から寄せられたとき、 担当者として何を案内すればいいか、 即座に答えられますか?
2025年4月の育児介護休業法改正により企業は従業員が介護に直面した際に、個別に制度を周知し、取得の意向を確認することが義務付けられました。
「制度の説明だけしておけばいい」という対応では、従業員の本当の困りごとに応えられない時代になっています。
この記事では、企業の介護相談窓口担当者が「仕事と介護の両立」を支援するために知っておくべき 制度の基礎と、具体的な支援の流れを整理します。
まず知っておくべき「介護離職」の実態
年間約10万人が介護を理由に離職している
内閣府のデータによると、介護・看護を理由とした離職者は年間約10万人にのぼります。
特に40〜50代の中堅・管理職層が介護問題に直面するケースが多く、企業にとって最も替えの利かない人材が失われるリスクがあります。
採用コスト・教育コスト・引き継ぎコストを合わせると、従業員1人の離職で発生するコストは数百万円規模になるとも言われています。
「辞めてはいないが、機能していない」問題
在宅介護を続けながら働く従業員は、慢性的な睡眠不足・突発的な休み・精神的な疲弊が重なり、業務パフォーマンスが低下するケースがあります。
「介護離職していないが、実質的に機能していない」という状態も企業にとっての大きなロスです。
早期に支援につなぐことが、離職防止と生産性維持の両方に効果があります。
Point
主な改正内容(2025年4月施行)
従業員が介護に直面したと申し出た場合、事業主は以下を個別に行うことが義務付けられました。
- 介護休業・介護休暇等の制度の周知
- 取得の意向確認
「掲示板に貼っておけばいい」という対応では義務を果たしたことにならず、個別に・直接・確認することが求められます。
以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられました。
- 研修の実施
- 相談窓口の設置
- 介護両立支援に関する事例の収集・提供
- 介護両立支援制度の内容・利用方法の周知
介護のための所定外労働の免除制度が新設されました。
対象家族1人につき、介護終了まで利用可能です。
担当者として対応すべきこと
- 就業規則・介護休業規程の確認・改定(法改正への対応)
- 従業員向けの制度周知資料の整備
- 相談窓口の設置・運営フローの整備
- 申し出があった際の個別対応マニュアルの作成
介護に関する主要制度の基礎知識
介護休業
- 対象家族1人につき通算93日まで取得可能
- 3回まで分割して取得できる
- 介護休業給付金(雇用保険)が支給される(休業前賃金の67%)
- 「介護するため」ではなく「介護の体制を整えるため」に使う制度
介護休業は「介護しながら休む」ための制度ではなく、「施設を探す・介護サービスを整える・後見人を立てる」などの体制整備のために使う制度です。
従業員への説明時にこの点を明確にすることで、制度の使い方の誤解を防げます。
介護休暇
- 対象家族が1人の場合:年5日
- 対象家族が2人以上の場合:年10日
- 1日または半日単位で取得可能
- 給与の支払いは会社の規定による(法律上の義務なし)
所定外労働の免除(2025年新設)
- 対象家族の介護のために請求した場合、 所定外労働(残業)を免除
- 対象家族1人につき、介護終了まで利用可能 勤務時間の短縮等の措置
- 介護のための短時間勤務制度等の措置が必要
- 利用開始から3年間・2回以上利用できるよう設定が必要
担当者が「相談を受けたとき」の対応フロー
従業員から「親の介護が始まった」「施設を探している」という相談が来たとき、以下のフローで対応することをオススメします。
STEP 1|まず「状況の把握」をする
- 対象家族の現在の状態(要介護度・認知症の有無・医療依存度)
- 本人(従業員)がどこまで関わっているか - 緊急性はあるか(今すぐ施設が必要か・まだ余裕があるか)
- 住んでいるエリア・家族構成
STEP 2|介護保険の認定状況を確認する
まだ介護認定を受けていない場合は、市区町村の窓口または地域包括支援センターへの相談を案内します。
認定を受けていれば、担当ケアマネージャーが老人ホーム探しの相談窓口になります。
STEP 3|制度の案内を行う
状況に応じて、以下の制度を案内します。
- 介護休業(施設探し・体制整備のために使う)
- 介護休暇(通院付き添い・手続き対応のために使う)
- 所定外労働の免除(残業ができない期間の対応)
- 短時間勤務制度
STEP 4|施設・専門家への繋ぎ
施設の種類・費用・空き状況など、具体的な施設の情報提供は専門家の領域です。
担当者として全てを抱え込もうとせず、信頼できる施設紹介の専門家・地域包括支援センターに繋ぐことが従業員の最大の利益になります。
「顧問先・取引先の従業員から介護相談を受けたが、施設のことは分からない」という場合、ご連絡いただければ状況に合わせてサポートします。
企業の担当者・社労士の方からのご相談も歓迎です。
「制度の案内」だけでは解決しない理由 介護問題において、制度の案内は重要ですが、それだけでは解決しません。
従業員が本当に必要としているのは、「施設が決まること」「介護の体制が整うこと」です。
介護休業を93日取っても、その間に施設が見つからなければ復職後も同じ問題が続きます。
「制度の案内」と「施設探しの支援」の両方が揃ったとき、従業員は初めて安心して仕事に戻れます。
企業の担当者・社労士が「制度面」を担い、施設紹介の専門家が「施設面」を担う。
この二段構えで支援することが、介護離職防止の最も効果的な形です。
まとめ - 年間約10万人が介護を理由に離職。
中堅・管理職層の離職は企業に数百万円規模のコストを生む
- 2025年の法改正で個別周知・意向確認・雇用環境整備が義務化された
- 介護休業は「介護の体制を整えるため」に使う制度。従業員への正確な説明が重要
- 相談を受けたら「状況把握→認定確認→制度案内→専門家への繋ぎ」の順で対応する
- 「制度の案内」だけでは不十分。施設探しの専門家との連携が離職防止の鍵
企業・社労士の方からのご相談も可能!!
「従業員から介護相談を受けたが、施設のことは分からない」
「介護相談窓口を整備したいが、何から始めればいいか」
「企業向けの介護セミナーを実施したい」
状況をお聞きした上で、最適な対応をご提案します。
社労士・人事担当者の方との連携・協力体制の構築についてもご相談いただければ幸いです。
大手ポータルサイトや競合の大半が対応しない「見学同行・面談同行・入居当日の同行」まで一貫してフルサポート。
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企業の介護相談窓口担当者が知っておくべき「仕事と介護の両立」支援の流れ|2025年法改正対応
2025年育児介護休業法改正で義務化された個別周知・意向確認への対応と、従業員から介護相談を受けたときの対応フローを解説。
制度案内だけでは不十分な理由と、施設紹介専門家との連携メリットも。
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