「認知症対応可」と記載されている施設でも周辺症状(BPSD)の程度によって対応できないケースがあります。
- 暴言・暴力・夜間不穏・徘徊への対応実績があるか
- 認知症ケアの専門研修を受けたスタッフがいるか
- 精神科との連携があるか
周辺症状(BPSD)が強い場合は、問い合わせ時に症状を正直に伝えることが入居後のトラブルを防ぐために重要です。
変に現実を隠して入居ができたとしても、後に退去の相談をされてしまう場合があります。
老人ホーム紹介センターふくさと
認知症の進行ステージ別|適切な老人ホームの種類と移行タイミング
対象読者:ケアマネージャー・地域包括支援センター職員・医療ソーシャルワーカー・成年後見人
はじめに
「認知症があるから、施設はグループホームしかないですか?」
老人ホームの相談でよく聞かれる質問の一つです。 そんなことはありません。
認知症があっても、入居できる施設の選択肢は複数あります。
そして、認知症の進行ステージによって、最適な施設の種類は変わります。
軽度のうちに入居できる施設と、重度になってからでないと入居できない施設がある。
逆に、軽度では入居できても、重度化すると対応できなくなる施設もある。
こうした「認知症と施設の関係」を整理しておくことは、ケアマネ・後見人・MSWが施設を探す際の判断精度を上げることに直結します。
この記事では、認知症の進行ステージ別に、 最適な施設の種類と移行タイミングを整理します。
認知症の進行ステージとは
認知症の進行度合いは、「CDR(Clinical Dementia Rating)」や「長谷川式スコア(HDS-R)」などで評価されます。
実務上は以下の4段階で大まかに整理されることが多いです。
長谷川式の目安
軽度 20点前後→ 日常会話は成立。物忘れ・迷子が出始める
中等度 10〜20点→ 日常生活に支援が必要。周辺症状(BPSD)が出始める やや重度
5〜10点→ 介助なしでは日常生活が困難。周辺症状(BPSD)が顕著になることも
重度 5点以下→ 意思疎通が難しい。全介助が必要
※周辺症状(BPSD)…記憶障害などの「中核症状」に加え、環境要因や心理的要因が相互作用して現れる、徘徊、暴言、抑うつ、妄想などの「行動・心理症状」 ただし、スコアだけで状態を判断するのは難しく、 周辺症状(BPSD)の有無・医療依存度・身体機能の状態を合わせて判断することが重要です。
ステージ別・適切な施設と移行タイミング
▶ 軽度(長谷川式20点前後)
この段階で使える施設の選択肢
- 介護付有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 住宅型有料老人ホーム
- グループホーム(要支援2以上・認知症診断があれば入居可)
- ケアハウス(自立度が高ければ)
判断のポイント
軽度の段階では、選択肢が最も広い時期です。
本人が「自分で選べる」最後のタイミングでもあります。
「まだ軽いから大丈夫」と先送りにすることが、最大のリスクです。
進行してからでは、本人の意思確認が難しくなります。
また、重度化すると受け入れ可能な施設が絞られ、希望に合った施設を選ぶ余裕がなくなります。
グループホームは「軽度〜中等度の認知症の方が最も穏やかに過ごせる」という評価を受けることが多いです。
ただし空室が少ないため、軽度のうちから情報収集・申込を始めることをオススメします。
軽度の段階でサ高住・住宅型有料に入居した場合、 認知症が進行して周辺症状(BPSD)が出始めたときに「対応できない」と言われるケースがあります。
入居時に「認知症が進行しても対応してもらえるか」を必ず確認してください。
▶ 中等度(長谷川式10〜20点)
この段階で使える施設の選択肢
- グループホーム
- 介護付有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム(要介護3以上の場合)
判断のポイント
中等度になると、周辺症状(BPSD)が出始めるケースが増えてきます。
「昼夜逆転・夜間不穏・徘徊・介護への抵抗」など、在宅介護の負担が一気に増す段階です。
在宅限界のサインが出やすいのがこのステージです。
介護者の体調・精神状態を同時に確認しながら、施設移行のタイミングを見極めることが重要です。
グループホームは少人数・なじみの関係・生活リハビリが特徴で、中等度の認知症の方が穏やかに過ごせる環境として適しています。
ただし、医療依存度が上がってきている場合はグループホームでは対応できないケースが出てきます。
その場合は認知症対応が充実した介護付有料老人ホームも選択肢に。
要介護3以上であれば、特養への申込も可能になります。
費用負担が難しい場合は、この段階から検討をされ始める方も多いです。
特養は、基本的に要介護3以上の方のみが入居可能となります。
逆に言えば、要介護3以上相当の方のみしかいらっしゃいません。
本人の状態を周囲との差と照らし合わせ、入居することが精神的な負担に繋がらないか、慎重に検討をすることも重要です。
周辺症状(BPSD)が顕著になってから施設を探し始めると、「暴言・暴力がある方の受け入れは難しい」と断られるケースが増えます。
周辺症状(BPSD)が出始めた段階で施設探しを並行して進めることが重要です。
入居をし、プロの対応や環境で、症状がある程度落ち着くことも期待ができます。
▶ やや重度(長谷川式5〜10点)
▶ 重度(長谷川式5点以下)
この段階で使える施設の選択肢
- 特別養護老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
- グループホーム(程度による)
- 介護医療院(医療行為が必要であれば)
判断のポイント
重度になると、意思疎通が難しくなり、全介助が標準になります。
この段階では看取りへの意向を早めに確認・共有しておくことが重要です。
「施設で最期を迎えたいか」「病院に移るか」という方針が定まっていないと、終末期に家族・施設・医療機関の間で混乱が生じやすくなります。
費用負担が難しい場合は特養が最有力です。
すでに申込済みであれば待機状況を確認しながら、在宅・施設等の他の選択肢と並行して進めます。
医療依存度が上がっている場合(たん吸引・胃ろう等)は、 24時間看護師が常駐する介護付有料老人ホームか、 介護医療院が対応できる施設として有力です。
不安なことは極力最小限に
ステージにかかわらず、認知症がある方の老人ホーム探しで必ず確認すべき事項があります。
「認知症対応可」と記載されている施設でも周辺症状(BPSD)の程度によって対応できないケースがあります。
- 暴言・暴力・夜間不穏・徘徊への対応実績があるか
- 認知症ケアの専門研修を受けたスタッフがいるか
- 精神科との連携があるか
周辺症状(BPSD)が強い場合は、問い合わせ時に症状を正直に伝えることが入居後のトラブルを防ぐために重要です。
変に現実を隠して入居ができたとしても、後に退去の相談をされてしまう場合があります。
入居時は軽度でも数年で重度化するケースは珍しくありません。
「重度化しても対応してもらえるか」
「対応できなくなった場合はどうなるか」
を入居前に確認しておくことが必須です。
認知症の進行に伴い、嚥下機能の低下・誤嚥性肺炎・骨折などが起きやすくなります。
医療依存度が上がった場合に同じ施設で対応できるかどうかを事前に確認しておくことで、 不必要な住み替えを防ぐことができます。
まとめ
- 認知症があっても施設の選択肢は複数ある
- 軽度のうちが選択肢が最も広く、本人の意思を確認できる最後のタイミング
- グループホームは、空室が少ないため早めの情報収集が必要
- 中等度で周辺症状(BPSD)が出始めたら老人ホーム探しを在宅生活と並行して進める
- 重度では看取りへの意向を早めに確認・共有しておくことが重要
- ステージにかかわらず「周辺症状(BPSD)への対応力・重度化後の継続入居・医療依存度への対応」を確認する
認知症の施設選びでお悩みの方はご相談ください
「周辺症状(BPSD)が強くて断られ続けている」
「グループホームから次の施設に住み替えの必要が出てきた」
「認知症が進行し、今の施設では対応が難しくなってきた」
こうしたご相談も、多くいただいております。
大手ポータルサイトや競合の大半が対応しない「見学同行・面談同行・入居当日の同行」まで一貫してフルサポート。
状況をお聞きした上で、最適な選択肢をご提案いたします。
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元訪問介護ヘルパー・元福祉用具営業
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認知症の軽度・中等度・やや重度・重度の各ステージ別に、最適な老人ホームの種類と施設移行のタイミングを実務目線で解説。
BPSDへの対応力・重度化後の継続入居確認ポイントも収録。
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